マチュ・ピチュ-アルトマヨの森奮闘記

青年海外協力隊2022年7次隊として、林業・森林保全分野でペルーに派遣されました。クスコ州のマチュピチュ歴史保護区で森林保全活動をしていましたが、情勢悪化に伴いサン・マルティン州のアルトマヨの森保護区に任地変更となりました。自分が将来過去を振り返るための備忘録も兼ねて、日々の活動をボチボチ綴っていこうと思ってます。時々暑苦しい文章になるかもしれませんので、ご承知おきください。

”揺らいでいる頼りない君もいつかは 僕らを救う明日の羽になるかな”

“鏡みたいに写る僕らの心細さも全部抱えて
君の街まで飛ぶための歌
揺らいでいる頼りない君もいつかは

僕らを救う明日の羽になるかな”

「君の街まで」- Asian Kung-Fu Generation

 

ラマス市のワイクというケチュア民族が生活する集落を訪れた際の写真。任地は少数民族が多数いる州だが毎度彼らの純粋な笑顔が印象に残る。




さて、またしても長い間更新をさぼってしまっていました。少し長くなるかもしれませんが、可能な限りお付き合いください。前回の投稿以来、いよいよ自分の立てた活動計画が実際に実行されつつあります。

 

任地アルトマヨの森保護区の展望台にて撮影。18万2千ha(東三河地域と同等)の面積を誇るペルーの自然保護区。



 

 

 

 

まず初めに取り掛かったのは学校に訪問して、環境啓発の授業をするところでした。アルトマヨの森保護区は、アマゾン川に流れゆくマヨ川の流域の保全を主題に国の自然保護区に制定された森であり、水源の重要性を伝えることは必要不可欠であると考えました。そこで保護区やその周辺の小学校を巡回し、いくつかの小学校で日本の高度経済成長期の川の汚染を例えに、川の汚染が人間生活に及ぼす影響と修復が簡単なことではないことを視覚的に伝えるアクティビティを実施しています。これまでに、3校のいろんな学年を対象に実施してきましたが、もう少しモデル校を増やすことと中等教育学校の高学年(高校生に当たる学年)には簡単な英語で実施することで、環境啓発のみならず国際理解の意図も含んだアクティビティにできたらと考えています。(ペルーの地方部ではあまり実用的な英語を習っていないので、かなりスペイン語メインで実施しないと難しそうですが。。。)

 

保護区内外の小学校を巡回して、環境啓発授業を行う。毎度意識していることだが、裨益者と話す際は同じ目線で話すことを意識している。



 

また、サン・マルティン国立大学の林学コースで日本の森林科学分野の授業をした後、今年任地のサン・マルティン州で開催された2023年の全国環境工学学会にも招待講演をしてほしいと依頼があり、”日本の林学とペルーにおけるその応用”というテーマで、日本の林政や技術を紹介する講演を全国から集まった環境工学系の学生約150人を対象に行いました。1時間ほどの講演でしたが、なんとかスペイン語で乗り切ったのも束の間、すぐに学生や引率の先生に囲まれ大量のスペイン語での質問を浴びせられるというありがたい時間をちょうだいしました。環境に関してのワークショップ関連の活動は比較的良いスタートを切れたのではと思います。

 

モヨバンバ市で開催されたCONEIA2023(ペルーの環境工学系の学会)にて日本の林学に関しての講演をさせていただいた。




 

 

農業組合の支援に関しては、なかなか日本である程度まとまったロットを輸入してくれる会社さんを見つけることに苦戦しており、日本ペルーに関わらず、コーヒーの事業に関して詳しいいろんな方にアドバイスや見解を伺いながら、可能性を模索しています。まだまだ苦戦しそうです。そんな中でもペルー国内市場に目を向けると、リマ市内の工芸品のお店で任地のレギュラーコーヒーを置いていただけることとなり、その立地とお店の特性からしても国内外のお客さんにアルトマヨのコーヒーと保護区での取り組みのストーリーを知ってもらえる場所になるのではと期待しています。

 

リマ市バランコ区の工芸品店にてアルトマヨの森のコーヒーを置いてもらい始めた。



 

さらに、東京のJICA市ヶ谷にて、日本-ペルー外交樹立150周年を記念した特別展が行われていることもあって、JICA市ヶ谷内のレストランにおいて任地の組合が生産するコーヒーの試売もさせていただきました。

 

今年2023年が日本ペルー外交樹立150周年ということもあって、JICA市ヶ谷にてペルーに関して企画展が行われている。その展示に際して、JICA市ヶ谷の食堂では任地のコーヒーが試売された。



 

自分的には当たり前と思ってきていた商慣習がペルーでは通用せず、予測不能なことが起こりまくりの活動ですが、多くの人の話を聞きながら販路拡大という大きな目標に向けて実施しています。やはり、環境を保全しながらも安定した収入源を担保することは必要不可欠であり、組合の持つノウハウを保護区周辺のたくさんの農家さんに実践してもらい、収入安定・向上と環境配慮型農業の両立を実現するためには、組合に豆を下ろしてもらうだけの経済的なインセンティブと生産量(取扱量)に見合った販売量の担保が必要になってくると考えています。そういう意味では組合の職員も口をそろえて言うように、コーヒー消費大国がそろう東アジアのマーケットは魅力的で、このエリアに販売した実績を作り、事業を拡大させていくことが求められていると感じています。まだまだ難題だらけですが、収穫期ではない今は来年の収穫に備えて、組合を対象にマーケティングや市場調査、日本の企業に浸透しているカイゼン活動のワークショップの実施等を計画・実施しています。

 

今年7月に竣工されたばかりの組合の倉庫兼事務所兼ラボ。



 

 

 

 


毎月のように保護区内に足を運んでは、対象樹種のモニタリングを実施し情報を蓄積しています。また並行して、地域の住民の男女を対象に“森林資源の利用におけるジェンダー”というテーマで森林資源の有用性と男女間における認識の違いを浮き彫りにするためのワークショップも行っています。森周辺の農村部では家長は基本的には男性でありまだまだ男尊女卑の文化が根強く残っています。集会などにも男性しか出てこないなんてことも多々ありますが、参加型森林管理ではやはり男性も女性も直接的に関与してもらうことが求められており、女性が積極的に参加できる文化の醸成、さらには女性の能力向上が求められています。今回の男女同数でのワークショップでは、そもそも同数そろえることに苦戦しましたが、想定していた通り男女で森林資源の利用に対する捉え方は異なっており、その捉え方を男女間で確認しあい尊重しあうことの重要性を共に学べたのではと感じています。

 

”森林資源利用におけるジェンダー”というテーマでワークショップを実施した際の様子。参加者は男女4人ずつと少数だが、女性の参加者を募るのにやや苦労した。



 

サン・マルティン州の他の地区での話でも後述しますが、困難な文化的コンテクストの中でも、女性の力強さを感じる機会は多いです。アルトマヨの森保護区では民間NGOとも連携して多岐にわたる女性のエンパワメント活動を行っています。森林保全という文脈からは少しそれてしまいますが、女性のエンパワメントの活動にも積極的に関与するようにしていて、NGOや配属先に提案して、女性自治委員会のメンバーへの聞き取り調査を実施し、その調査に基づき、チームビルディングやカイゼン活動、帳簿や栄養教育など、自分が知識を持ち合わせていないものでも多くの関係者を巻き込みながらワークショップを実施しようとしています。既にいくつかは実施予定もあり、こうしてかんけいしゃを増やして事業を大きくしていくことも協力隊員に求められるひとつの要素であると捉えています。特に栄養教育に関しては、JICAや同期の栄養士隊員、他のNGOや郡役場を巻き込んだ少し大掛かりな企画となっており、調整する側としては不安半分、ワクワク半分といった気持ちです。予算申請からメインで携わっており、困難もあるかと思いますが、精一杯できることをやっていきたいと思います。彼女たちが元来持つ芯の強さを自由に表現できるよう、黒子としてサポートをすることも自分の一つの課題であると考えています。

 

活動を行っているナシエンテ・デル・リオ・ネグロ集落の女性自治委員会のメンバーの自宅に戸別訪問し、課題を正確に捉えることが目的。




 

 

 



ここまでの活動に関して要約して書き連ねてきましたが、この内容に関しては9月にりまにて実施された中間報告会でも、スペイン語で発表してきました。この週は1週間丸々リマに滞在し、健康診断や大使館表敬、30年ほど前テロで殉職したJICA専門家の慰霊碑訪問、日本文化紹介イベントなどたくさんのイベントがありました。慰霊においては志半ばで命を落とした3名の専門家に献花し、あらためてペルーの発展の為に彼らの意志を受け継いで鋭意邁進していくことを誓いました。

 

1991年にJICA専門家3名がテロリストによって殺害された現場跡に建てられた慰霊碑。改めて、彼らの意志を引き継いでペルーのさらなる発展の為に尽力することを誓った。



 

また日本文化紹介イベントでは、幹事の一人として、至らない点もありましたが参加者全員が楽しめるよう調整をさせていただきました。多くの人の協力もあって、来場者の方々には喜んでもらえたのではと自負しています。

 

リマ市チョリーヨス区にあるロス・パンタノス・デ・ビジャの保護区にて日本文化紹介イベントを開催。



 

そして何より、中間報告会。任地のリオハから事務所長もわざわざ来てくれて、多くのJICA関係者、政府関係者、他国の国際協力機関、他隊員の配属先関係者の前で自分の活動について発表しました。他の隊員が1年間の活動を報告する中で、任地変更のあった自分は6か月間の活動報告となりボリュームにおいてはまだまだ足らない活動ではあると自覚していますが、それでもこの半年間は感情のコントロールや新任地での適応などたくさんの困難を抱えながらもできる限りの活動は実施できたのではと感じています。スペイン語においてもこの1年間で日常生活だけでなく活動においてもあまり苦労することのないレベルまで引き上げることができたので、前半1年間は成功と呼んで差し支えないと思っています。もちろん後半の1年間は何かしらトライしたことに対して結果を求める年であり、結果を求めて日々努力を続けるのみと考えています。

 

9月に実施された中間報告会の様子。

 

終了後、配属先のアルトマヨの森保護区の事務所長と記念撮影。



 

 

またこの1週間は、農村部の任地を離れて大都会のリマでリフレッシュする良い機会だったとも捉えています。任地では食べることのできない料理を食べ、首都退避中お世話になった植物園の同僚や日系コミュニティの友達と会って、この半年間の近況報告をしあいました。元任地のクスコや現任地のサン・マルティンだけでなく、首都リマにもたくさんの友達がいることは私にとって協力隊期間における大きな財産だと思います。

 

いつも気にかけてくれる日系人のおうちにも行ってきた。いつ行っても温かく迎えてくれる。



 

 

 

以下、9月のリマでの1週間のあとのアヤクチョ旅行と11月に同期と後輩隊員が自分の任地を訪ねてくれたことに関する、いわば旅行記です。

 

アヤクチョ州にあるミルプというターコイズブルーの水が流れる渓谷。




まずは9月のリマでの多忙な1週間の後、せっかく同期が集まっているのでこの機会を利用して中央アンデスの街アヤクチョへ国内旅行に行ってきました。よくよく考えてみると、これまでクスコ、リマ、サン・マルティンから出たことはなく、初めての国内旅行でした。雄大な自然とかわいい工芸品で有名なアヤクチョですが、そう長い期間や住むこともできないので3泊4日で敢行しました。空港に着くなり、中心地に移動して食べた鱒のキヌア揚げは本当においしくて改めてペルーが美食の国であることを認識させられました。そしてまずは、ターコイズブルーの澄んだ水が流れるミルプというところにツアーに参加していってきました。息が止まるくらいの絶景に時を忘れ、目的地にアヤクチョを選んだことは本当に正解だったと強く思いました。

 

綺麗で冷たい水に触れる。アヤクチョを目的地に選んで正解だった。



 

他にもクオリウィルカ渓谷やワリ文化遺跡群、パンパ・デ・アヤクチョ歴史保護区などアヤクチョの代表的な観光地を巡り、充実した時間を過ごしました。またアヤクチョの人はみんな温かい人ばかりで、どこか人懐っこくて、この人間性にも惹かれるところがありました。工芸品屋さんや市場、屋台などで色んな人と話をし、楽しい時間を過ごすことができたように思います。一緒に行ってくれて楽しい時間を共有できた同期にも感謝です。

 

クオリウィルカ渓谷。1時間強のハイキングで、渓谷の中は暗いところも多かったが景色を楽しみながら歩いた。



ワリ文化遺産群。ワリ文化の伝統的な服装を着た人と記念撮影。



パンパ・デ・アヤクチョ歴史保護区。広い平原で吸う空気はおいしかった。いろいろと連れて行ってくれたガイドさんにも感謝。



 

 

 

 

 

また先日は協力隊員4人が、サン・マルティン州の私の任地アルトマヨの森保護区に遊びに来てくれました。4人は自分と同じくSERNANP(ペルーの自然保護区を管理する環境省所轄の機関)の他の自然保護区でも活動しているので、まずは私の任地の自然保護区を訪れ、さらにサン・マルティン自体についても知ってもらえるようにと旅程をコーディネートしました。自然保護区内ではアグロフォレストリーシステムによって生産されているコーヒー農園、パークレンジャーが常駐するコントロールポスト、そして3か所の野鳥観察施設を訪れました。

 

アルトマヨの森保護区のヌエバ・セランディア集落のコーヒー農園前にて撮影。森を保全しながらコーヒーの生産を行っている。



保護区内でSERNANP隊員で記念撮影。遠いところから来てくれてありがとう!



野鳥観察施設にて。目の前でハチドリなどの野鳥が観察できる。



 

配属先のオフィスや農業組合では、いつも一緒に働いている同僚がこの保護区での取り組みや歴史を紹介してくれましたがなるべく同僚、組合員、森林住民の話を文化的・社会的コンテクストも踏まえて翻訳して伝えるように意識しました。やはり1年も住んでいると意外と自分の専門外の話でもスペイン語分かっているな、と自画自賛したくもなりました。来てくれたみんなにとって、今回の保護区での経験が貴重なものであったと願っています。

 

保護区の事務所メンバーとも一緒に記念撮影。



 

保護区訪問後は、モヨバンバとリオハからなるアルトマヨ地区を旅行しました。以前TBSのナスDの番組でも取り上げられたことのあるアワフン民族の先住民コミュニティの女性たちが管理するヌワの森(ヌワはアワフン語で「女性」の意味)を訪れましたが、どうやら私たちが初めての日本人来訪者だったようです。この森では少数民族の生活を体験し、彼らのエコな生活を見せてもらいました。

 

少数民族アワフン族の女性と一緒に”悪魔の家”と呼ばれる木の前で写真撮影。



 

サンタエレナ生態パークではアマゾン流域を流れる川を小舟で巡るツアーに参加しました。アルトマヨ地区を見てまわった後は、サン・マルティン州の経済の中心地であるタラポトへ移動しました。

 

小舟に2時間揺られてアマゾン流域の川を下り、いろんな動植物を観察した。



 

タラポトには何度か行ったことがありましたが、あまりこれまで観光地には行っていなかったのでこの機会に色んなところをまわることにしました。タラポト初日は市街地から1時間ほどのところに位置し、これまでずっと行きたかったチャスタ町へ行きました。サン・マルティン郡のチャスタ町では、アグロフォレストリーシステムによってカカオの生産がされており、このカカオのビジネスでは、女性のエンパワメントを目的に女性自治委員会も設立されたという経緯があるそうです。チャスタ町や私の任地のアルトマヨに限らずですが、男尊女卑の文化も色濃く残るペルーの地方の街では女性のレジリエンスをひしひしと感じることが多々あります。自分のここでの活動もまた、ペルーの地方に住む女性の能力向上・自己肯定感向上につながるようなものになればと思っています。また、チャスタ町では30年ほど前までは麻薬密売のためにコカの葉が生産されていました。しかし少しずつ状況は変わり、今では経済的にも政治的にも健全なビジネスを行っています。環境を保全しながら地域社会の持続可能な発展を目指して農業生産に取り組んでいる姿から、多くのことを学び、チャスタ町はペルーの中でも1、2を争うくらい好きな街になりました。 もっと他にも農園や農業組合が町にはあるそうで、焼き物も有名なので製陶所にも行ってみたいと思っているので本当に何度でも訪れたいと考えています。

 

チャスタ町の女性自治委員会によって設立されたMishki Cacaoというチョコレートの製造販売をするお店。ストーリー性のある農産物。日本の人にももっと知ってほしいな。



カカオ農園を見学させてもらった。アグロフォレストリ―を実践していて、自分の活動にも役立つ情報がたくさんあった。



陶器も有名なチャスタ町。今回は行けなかったがまた訪れた際には製陶所も見学したい。



 

チャスタからの帰り道には、「タバカレラ・デル・オリエンテS.A.C.」のタバコ工場と農場を見ました。 今まで吸ったことのなかった憧れの葉巻を体験させてもらい、またタラポトのタバコ生産の歴史も学びました。

 

初めての葉巻。タラポト近郊の村ではタバコの生産もされていて、タラポト市内にある工場に訪問した。



 

タラポト2日目は郊外にあるアワシヤクの滝とラマス市へ行きました。タラポトは熱帯地帯にありますが、滝では少しひんやりとしていて空気が澄んでいたように感じました。

 

タラポト市街地から30分ほどの距離にあるアワシヤクの滝。熱帯地域の大都市タラポトだけど、ここは空気が新鮮で涼しかった。

 

ラマス市ではイタリア人実業家が建てたラマス城や山の景色を一望できる展望台レストランなどを訪れましたが、最も魅力的だったのは先住民ラマス・ケチュア族のワイク集落を訪れたことです。この町では、手作りの工芸品、ケチュア語の歌、伝統的なダンスを見学させてもらい、記念に民族特有の柄が入ったチュンベというベルトを買いました。踊りや歌を披露してくれた先住民の子どもたちの純粋な笑顔が目に焼きついていて、きっと今回の旅の思い出は色あせることが無いだろうなと感じています。

 

ラマス城も訪問。20数年前に建てられた新しいお城だけど、十分にラマス市に人を呼び込む観光資源になっていると感じた。




ラマス市の展望台にあるレストランにて、山の景色を見ながら昼食。ピラルクのセビーチェを注文。



少数民族ラマス・ケチュア族の集落では工芸品やケチュア語の歌や伝統的な踊りを披露してもらった。



 

改めてサン・マルティン州には魅力的な場所がたくさんあることを実感し、これまで以上にサン・マルティン州のことが好きになったように思います。是非日本からの観光客も、クスコやナスカだけでなく、サン・マルティン州にも来てもらって、忘れられないような濃い体験をたくさんしてもらいたいなと思いました。おそらく通訳もできるので、もし興味のある方はぜひいらしてください!

 

タラポトでは初めてのディスコ。エネルギーは失ったけど、楽しい時間を過ごした。



タラポト市内のタイ料理レストランにて夕食。同じ敷地に事務所を構えるNGOの職員で家がお隣の友達も用事でタラポトに来ていたので、一緒にタイ料理を楽しんだ。



 

 

 

ここまで長々と綴ってきましたが、タイトルにも引用したAsian Kung-Fu Generationの「君の街まで」という曲が最近の自分の心情を説明するのに適当と感じています。

 

”鏡みたいに写る僕らの心細さも全部抱えて 君の街まで飛ぶための歌”

 

このフレーズではまだまだ経験不足で不完全な私自身も、この保護区に住む住民の為に何かできるのではないかと思い、自分の感情を発信しようとする今の私の姿勢そのものだと捉えています。


”揺らいでいる頼りない君もいつかは 僕らを救う明日の羽になるかな”

 

そして、後半のこのフレーズ。都市部と比較して社会インフラも脆弱な任地の森ですが、そんな中でも彼ら・彼女らは強く、たくましく日々の生活を送っています。確かに都市部や先進国の高度な教育を受けた人たちと比較すると、学術的な意味で知っていることは限定的ですが、先祖から受け継がれた活きた知恵に基づいて、生活の質の向上に向けて努力しており、またそんな彼らを配属先や他の民NGOはサポートしています。こうして、環境を保全しながら生活の質を向上させようとする彼ら・彼女らは私をはじめいろんな人を勇気づけ、そしてまた彼ら・彼女ら自身の取り組み事例はきっと他の地域の開発課題を解決する一つの糸口になるんだと思います。私はそんな彼ら・彼女らに勇気と優しさを分けてもらいながら、また彼ら・彼女らにお返しするために自分のできる最大限のことをするのだと思います。きっとこうして後半の1年もあっと言う間に過ぎてしまうんだろうな、そんなことを思う任地リオハでの夜に思いを馳せながら筆をおきます。

8月31日に30歳になりました。事務所だけでなく、良く自分のことを気にかけてくれるリオハのママのお家でも誕生日会をして祝ってもらいました。